診療案内

前立腺肥大

前立腺は男性特有の臓器であり、前立腺肥大症は前立腺に良性の腫瘍が発生して尿道や膀胱を圧迫するもので、50歳以上の男性に多く見られます。そのため、尿が出にくい、残尿感がある、尿量低下、夜間頻尿、昼間頻尿などの症状が出ます。夜間頻尿は睡眠時に1回以上、昼間頻尿は昼間に8回以上トイレに行くことと定義されていますが、これは個人で感じ方が異なりますので、病態がなければ患者さまとよく話してから治療するかどうかを決めます。

前立腺肥大症の検査時では、超音波検査で前立腺だけではなく腎臓や膀胱にも異常がないかを確認します。また、前立腺がんの疑いもあるため、腫瘍マーカー、直腸診を行います。治療としてはまずは薬物療法、作用が不良な場合には提携医療機関に紹介し、手術療法となります。

前立腺がん

前立腺がんの原因はまだ詳しくわかっていませんが、加齢によるホルモンバランスの変化が前立腺に影響を及ぼすことによるとされます。50歳以上の男性で、尿が出にくい、残尿感がある、尿量低下、夜間頻尿、昼間頻尿などの症状をお持ちの方は、一度検査をおすすめします。検査では、腫瘍マーカー、直腸診を行います。

また、健診時にPSAという前立腺特異抗原の数値が高いと指摘されて来られた患者さまは、血液検査で再検査したうえで連携医療機関を紹介し、MRI撮影となります。MRIで前立腺がんの可能性が高い場合にはこちらも大きな医療機関に依頼して生検をします。前立腺がんと診断されれば、進行度合いや年齢に応じて手術や放射線治療、薬物療法での治療を行います。

慢性前立腺炎

前立腺疾患と聞くと高齢男性をイメージされるかもしれませんが、慢性前立腺炎は10代の男性からどの年代でも発症します。症状としては頻尿や残尿感、下腹部の不快感や痛みなどが挙げられます。

慢性前立腺炎では、尿検査や超音波検査、直腸診などの検査をして診断します。現代の医療ではまだはっきりとした原因がわかっておらず、治療時にも増悪、改善を繰り返すようなことが多い病態です。その方の症状に合わせて、お薬で治療経過を見ていきます。

血尿

血尿には大きく分けて、肉眼的な血尿と顕微鏡的な血尿があり、健診で指摘されるのは顕微鏡的な血尿です。顕微鏡的血尿、肉眼的血尿の原因として多い病気が、尿路結石です。

腎臓で石が形成されるのですが、石がある部位によって名前が変わります。腎臓にある場合は腎結石、それが尿路を伝って降りてきて尿管に移動すると尿管結石、尿管から膀胱に落ちて排尿障害を合併していると膀胱結石という状態で定義する場合もあります。とくに尿管結石では腹部に激痛を伴います。それぞれの病態に応じて患者さまと相談しながら、お薬での保存的治療、手術的治療を選択します。尿路結石は治療をしても再発を繰り返すことが多いため、経験のある方は年に一度は検査を受けてください。

尿路感染症

尿路感染症とは、おしっこの通り道である腎臓、尿管、膀胱、尿道に細菌が侵入し炎症を起こすことを指し、主なものとして膀胱炎、腎盂腎炎が挙げられます。頻尿や残尿感、排尿時痛、ひどい場合には血尿などの症状が出ます。大人だけではなく子どもにもみられ、幅広い年齢層の方がかかる可能性があります。

膀胱炎の場合には、ほかに基礎疾患のある複雑性膀胱炎と、合併症がない単純性膀胱炎とに大きく分けられます。単純性膀胱炎なら検尿で細菌の種類を確認し、抗菌薬での治療となります。複雑性膀胱炎では、細菌が腎盂まで入り込んで起こる腎盂腎炎や、排尿障害など基礎疾患を見落とさないことが重要です。状態に応じて、抗菌化学療法や連携する病院での入院治療を受けていただきます。